皆さんこんにちは。
東京都足立区を拠点に、東京都や神奈川県、埼玉県、千葉県で鳶工事などを手掛けている株式会社黒沼建設です。
高所作業の専門家である鳶職人は、あらゆる建物の建設工事で活躍する存在です。仕事の授業は常にありますが、いわゆる「3K(きつい・汚い・危険)」のイメージが強いためか、就職をためらってしまう人は少なくありません。
しかし、鳶職を取り巻く環境や鳶職人自身の考え方も、昔と今では随分変わりました。ハードワークを強いられるのは、もはや過去の話なのです。そこで今回は、昔と今の鳶職の違いや今後の展望、現代の鳶職人に求められる能力について解説します。
■昔の鳶職の特徴~東京タワーの建設工事より
鳶職人という名称が定着したのは江戸時代以降とされていますが、高所作業を専門とする職人自体はずっと昔から存在しており、本当に歴史の古い職業です。ただ、現在の鳶職人と比較するのであれば、やはり昭和の時代の鳶職人が対象になるでしょう。
想像がつくかもしれませんが、当時の鳶職人の労働環境は非常に悪い……というより、現在の感覚だと「ありえない」話がまかり通っていました。その象徴ともいえるのが、東京のシンボルである東京タワーの建設工事です。
東京タワーは1958年に完成しましたが、建設期間はわずか1年半でした。のべ約22万人もの作業員が関わり、朝6時から夜6時まで、毎日長時間作業を続けて急ピッチで完成させたのです。鳶職人の現場リーダーは、若干25歳だったといいますから驚きです。が、これはまだ序の口に過ぎません。
高所作業といえば、転落を防止するための命綱(今でいう墜落制止用器具)は必須であり、現在は着用が義務付けられています。しかし、東京タワーの建設に携わった鳶職人たちは、何と「命綱なし」で作業をしていたのです。その上、納期が厳しいことから、風が吹いてきても風速15m/sまでなら作業を続けていました(現在は10分間の平均風速10m/s以上で中止)。
また、手作業の割合が高かったのも、この時代の鳶工事の特徴です。当時はクレーンがないので部材はゴンドラで運び、他にもいろいろな作業を手動で行っていました。優れたパソコンや設計ソフトもないため、設計も手動計算です。現在と比較して、作業効率は非常に悪かったでしょう。
そして、伝説となっているのが「死のキャッチボール」。鉄骨をつなぐのに使われるリベット(鋲)を、東京タワーの建設現場では、まるでキャッチボールのように投げて各作業場所に渡していたのです。しかも、リベットは800℃まで加熱されており、金属製のバケツでキャッチする必要があります。このようなキャッチボールが、約28万回も繰り返されたのです。
このような環境ですから、当然ながら死亡事故も起きており、1名の尊い命が失われています(1名で済んでよかったというべきでしょうか?)。東京タワーは本当に頑丈で素晴らしい建物で、職人の技術の極みなのは間違いありません。しかし、上記のようなエピソードを見ると、この件を本当に美談にしていいのか? という疑問が湧いてきます。
他にも、昔は足場鳶・鉄骨鳶・重量鳶といった仕事の分類が不明確で、高所作業なら何でも回ってきたこともありました。昔の鳶職人は、本当に大変な環境で仕事をしていたのです。
■現代の鳶職の特徴~安全が最優先、古い体質からの脱却へ
時は流れて令和になった現在、鳶職人の働き方は大きく変化しました。変わったことはいろいろあるのですが、最も大きな変化は安全を最優先するようになったことでしょう。転落事故を防ぐ墜落制止用器具の着用は義務化され、その他の装備品や足場の幅、天候による作業中止の基準なども厳密に決められています。
また、クレーンをはじめとする重機や便利な工具、使いやすい次世代足場なども登場し、作業の効率が大きくアップしました。間違っても部材のキャッチボールなどはしていませんし、やってはいけません。設計や構造計算も、IT機器の進歩によって大変やりやすくなりました。鳶職のような現場仕事にも、確実に技術の革新は起きています。
そして、職人たちの仕事に対する考え方の変化も重要です。鳶職人に限った話ではありませんが、かつての職人の世界というのは「見て覚える」のが基本でした。研修や教育のシステムが整っていない(教える気がない)ため、未経験者が一人前の職人になるのは大変です。ミスをすれば怒鳴られたり殴られたりするのが当たり前で、みんな我慢しながら技術を磨いていました。
しかし、価値観が変化した現代の若者は、上記のような古い文化が残っている会社に入ろうとはしません。これは、近年の建設業界が人手不足に陥っている一因でもあります。教育システムを整備したくても、上司や先輩に「教えられた経験がない」ために、「教え方がわからない」というケースも珍しくありません。多くの会社が、何とかして若手を確保しようと試行錯誤しています。
このように現在の鳶工事業界は、古い体質から抜け出そうとしている最中です。いい文化は残しつつ悪い文化は改善し、多くの若い方が「鳶職人ってかっこいい!」と思ってくれるような業界になるよう、時代に合わせた変革が求められています。
■仕事は安定し、労働環境も改善!鳶職の今後の展望
昨今は世の中が目まぐるしく変化しており、技術の進歩によって新たな仕事が生まれる一方、需要が失われてしまう仕事も出てきています。鳶職人の世界にもさまざまな変化が起きていますが、今後の鳶工事業界はどうなっていくのでしょうか?
まず安心していただきたいのが、鳶工事の仕事の需要は決してなくならないということです。足場の組立・解体や鉄骨の組立、そして重量物の設置などは、建設工事とほぼセットになっています。多くの建物の新築・改装や各地の再開発、相次ぐ自然災害からの復旧・復興といった需要が常にある以上、鳶職人も常に必要とされ続けるのです。
また、AIやロボットの発達によって仕事を奪われるのでは? と心配している方もいるでしょう。確かに、建設業界にも最新技術が次々と導入されています。しかし、鳶職人の仕事が機械に取って代わられることはありません。なぜなら、鳶職人の仕事の多くは非常に繊細な作業で、機械に代替させるのは難しいからです。
機械はパターン化された仕事を得意としていますが、鳶工事の仕事内容は現場ごとに細かく異なり、時にはミリ単位の調整を要求されることもあります。これは人間だからこそできる仕事で、機械には任せられません。世の中の多くの仕事が機械で行われるようになっても、鳶職人は生き残り続けるでしょう。
さらに、建設業界の長年の課題だった労働環境の悪さについても、近年では改善に向けた動きが見られます。3Kに変わる新3K(給与・休暇・希望)が打ち出され、時間外労働の上限規制の罰則付き導入(2024年4月より)、職人のキャリアを「見える化」する建設キャリアアップシステムの普及など、国と業界が協力して働き方改革が進められているのです。
このような事情から、鳶工事業界は大いに将来性があるといえるでしょう。未経験の方が今から就職したとしても、安定して働くことは十分に可能です。最近の鳶工事業界は人手不足に陥っているため、若い方はどの会社でも必要とされます。しっかりと技術を磨いて一流の鳶職人になれば、まさに引く手あまたなので、就職するならむしろ今がチャンスです。
鳶職人の現状と将来性については、以下の記事もぜひご覧ください。https://www.kuronuma-kensetsu.jp/blog/recruit/153417
■鳶職人に向いているのはどんな人? 今と昔で変わったこと、変わらないこと
鳶職人の仕事に興味があるものの、自分に向いているのかどうかがわからず、就職を迷っている方もいるでしょう。実際のところ、鳶職人の適正や向き・不向きといったものは確かにあります。しかし、これも時代とともに変化してきています。そこで、昔と今で変わった部分・変わらない部分に分けて、鳶職人に求められる能力を確認しておきましょう。
◯昔も今も変わらない部分
昔も今も変わらず必要とされる適正は以下の通りです。これらはおそらく、今後もずっと必要とされ続けるでしょう。
・高いところが好きな人
鳶工事は高所作業が中心なので、高い場所でも怖がらず作業できるのは必須条件です。高いところで動き回るのが好きな人なら、楽しく働けるでしょう。ただし、労働災害を防ぐためには「適度に怖がる」能力も必要です。
・体を動かす・鍛えるのが好きな人
鳶職人は基本的に肉体労働であり、一定以上の体力や筋力を必要とします。体を動かしたり鍛えたりするのが好きな方や、普段からスポーツをしている方であれば、身体能力を現場で活かすことが可能です。
・慎重に作業できる人
鳶職人の仕事は、ほんの一瞬の油断や小さなミスが大事故につながる可能性があります。自分はもちろん、仲間や通行人を巻き込む事故も決して珍しくありません。常に注意深く慎重に作業し、周囲の状況をしっかり観察して危険を察知できる人は、鳶職人に向いています。
・チームワークや仲間意識を大切にできる人
鳶職人が1人で作業することはあまりなく、チームで行動するのが原則です。チームワークや仲間意識を大切にし、協力・連携して仕事に当たる能力は必要不可欠といえます。運動部で団体競技をしていた方などであれば、その経験を活かせるでしょう。
・朝早く起きられる人
鳶職人の仕事は始業が早い傾向にあります。安全面の都合で、日没までには作業を終えなければならないからです。早起きが苦にならない人は、鳶職人として働きやすいでしょう。
◯昔と今で変わった部分(必須ではない能力)
昔と今の鳶職人を比較すると、変わった部分もたくさんあります。「必須ではなくなった能力」も多く、一昔前は就職が難しかった人でも、鳶職人として活躍できるチャンスが生まれました。以下のような能力は、現在では必須とはいえないので、参考にしてください。
・根性
いわゆる根性論が現場を支配していたのは昔の話です。体力が必要なのは確かで、安全の問題から厳しいことを言われる場合もありますが、無理のある仕事を気合と根性で何とかするような現場はほぼなくなっています。
・技を盗む能力
現在の鳶工事業者は、教育システムをしっかりと整備し、未経験者も丁寧に指導しているところがほとんどです。「見て覚える」「技を盗む」のが原則で、何も教えてもらえないのにミスをすると殴られる……などということはありません。むしろ、教育システムが整っていない会社への就職は避けるべきです。もちろん、技を盗めるに越したことはありません。
・厳しい上下関係に耐えられる能力
チームで働くために上司の指示を聞く能力や、社会人としての最低限のマナーは当然必要です。しかし、あくまでも一般的な企業と同じレベルであり、昔のような厳しい上下関係を要求する会社は減っています。厳しい上下関係というのは、いわゆる「徒弟制度」のなごりであり、現代には合わないものです。
・職人気質の先輩と交流する能力
一昔前の職人といえば、「頑固」「気難しい」「口数が少ない」「怖い」といったイメージがありました。実際に多くの新人は、そういう「職人気質」の先輩と関わりながら腕を磨いたのです。しかし、現在ではそのような職人は減っており、多くの先輩や上司は一般的な会社と同じように接してくれます。わからないことがあれば、何でも気軽に質問してください。
■まとめ
鳶職は歴史の長い仕事ですが、昔と今では労働環境も職人の考え方も大きく変化しています。昔と比べるとより安全になり、とても働きやすくなりました。
そして、鳶職人が社会に必要不可欠な存在であり、仕事の需要が常にあることは今も昔も変わっていません。機械に仕事を奪われる心配もないため、しっかりと技術を身につければ、将来にわたって安定して働くことが可能です。「これなら自分でもできるかも!」と思った方は、ぜひ鳶職人を目指してみてください。
黒沼建設では、随時求人募集を行っています。学歴や職歴は一切問いません。安全性を徹底的に重視し、働きやすい環境を整えているため、新卒の方や未経験者の方でも大丈夫です。経験豊富な職人が多数在籍し、教育体制も整備されており、ベテラン職人の指導を受けながら経験を積むことができます。
また、資格取得に必要な費用は会社が全額負担しておりますので、自身のキャリアステージに合わせた資格を取得し、職人としてのキャリアを形成することが可能です。さらなる経験を積みたいベテラン職人の方や、将来の独立を目指す方も大歓迎ですので、ぜひお気軽にご連絡ください。皆さんと一緒に働ける日を楽しみにしています。
詳しい採用情報はこちらをご覧ください。
https://www.kuronuma-kensetsu.jp/recruit